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65 助っ人現る!?

Auteur: 栗栖蛍
last update Dernière mise à jour: 2025-07-18 08:39:27

「下がって、二人とも」

 空の手を湊の前へ滑らせ、芙美は素早くロッドを構える。

 ドンドンと下から突き上げてくる振動を堪えて、広場との境界線ギリギリの位置で闇を仰いだ。

 昔リーナが魔法の訓練をしていた時、大戦の最中に現れたハロンの話をルーシャから聞いたことがある。

 ──『私じゃダメだった』

 そんな彼女の言葉が蘇って、芙美は武器を握りしめた両手に力を込めた。

「まずは智くんを助けなきゃ。その後に湊くんがハロンの核を攻撃してくれれば」

 相手に魔法が効かないというのなら、その作戦が手っ取り早い。

「荒助(すさの)さん気を付けて。合図くれたら出れるから」

「ありがとう、湊くん」

 すぐ後ろで戦闘態勢に入る彼を肩越しに一瞥した。

 さらにその後ろには咲がいる。『逃げて』と叫びたい衝動を一旦飲み込むのは、その選択が正しいのか判断に迷ったからだ。目の届く範囲に居る方が良い気がする。

 丸腰の咲を守らねばならないという使命感すら湧いて、芙美は声を張り上げた。

「咲ちゃんも気を付けて!」

 芙美はロッドをくるりと回し、柄の方を闇へ向ける。地面と平行に構え、さっきとは別の文言を唱えた。掌の内側から溢れた光が柄の表面に刻み込んでいくのは、懐かしいターメイヤの文字だ。

「いけ!」

 光が球を光らせるのと同時に、芙美はロッドの柄を闇に突き刺した。ぐにゃりとした感触は、弾力のあるゼラチン質だ。さっき手で触れたような痛みはないが、中からの反発力は大きい。

 闇に刺し込めば刺し込むほどロッドを押し戻す力が強くなって、芙美は必死に力を込めた。中をかき混ぜるように手を動かすと、闇はグチャリグチャリと音を立てる。

「重い……」

 背の高さよりも長い柄の三分の一ほどを侵食させたところで、芙美は炎を発動させた。

 闇の内側で放出した緋色の光は広場の隅々へ向けて放射状に広がり、パアッと闇の輪郭を見せる。

 頭上を黒い影が横切るのが見えて、湊が「いた」と叫ぶ。けれど光は五秒ももたないうちに闇へ飲み込まれた。

 これがハロンなのかと言う程に闇は大人しいが、進入を拒む意思はハッキリと伝わってくる。

「がんばれ、芙美」

 咲の声援が聞こえるが、状況はあまり良くなかった。

 再び送り出す炎は闇を素通りして、囲われたドームの外へと消えていく。魔法が効かないという事実は魔法使いにとって分が悪い。少なくとも過去にリ
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  • いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?   171 我儘を貫く

     記憶の石に込められた運命は、次元隔離の魔法だという。 もしこの戦いに決着がつかない時は、前世と同じようにハロンを次元の外へ追い出して、再び別の世界で迎撃する──そのメンバーは、この世界での生を絶たなければならないのだ。 選ばなければならない未来への選択肢の一つがそれだというのか。「ふざけるなよ」 怒りに捕らわれて、咲は声を震わせた。「そんなの駄目に決まってるだろ? 折角また会えたんだぞ? まだ一年も経っていないじゃないか」「咲ちゃん……」「僕は我儘なんだ。蓮とも別れたくないけど、芙美とだって絶対に別れたくない」「私だって、使いたくないよ」 芙美はそれを最終手段だという。けれど戦局が思う方へ向かず、葛藤しているのがひしひしと伝わってくる。 ハロンと必死に戦っている湊を信じてはいるけれど、芙美の焦りが伝わってきて、咲は苛立ちを募らせた。「湊はあの必殺技を使うことができるのか?」 剣士が出せるという必殺技は、兵学校で習ったわけじゃない。そんなのがあるという噂を聞いて、見様見真似でそれっぽいことをしただけで、結局ヒルスは技を取得することができなかった。 湊が使えるかどうかはわからないが、技の存在を知らないはずはないだろう。 昔の記憶が蘇って、咲は唇を噛む。 あれは魔法使いの真似事だ。魔法使いに嫉妬した剣士が面白半分に生み出した技だという。「分かるよな、湊」 咲は小さな声で問いかけるように呟いた。その技を生み出したのは、ロイフォン──パラディンである彼の父親なのだ。 ハロンの正面に飛び上がった湊が、厚い皮に覆われた腹に剣を滑らせて着地したのを確認し、咲は声を張り上げた。「湊! お前は必殺技を打てるんじゃないのか?」 それは地表と剣を同化させ、地面を揺るがす技だ。 咲の声に気付いた湊が、一瞬ギャラリーの方を向く。闇に陰った表情は見えないが、彼もまた何かに迷っているようだった。「打てないのか……いや、打つことができないのか?」 その可能性を垣間見て、咲は戦場を見渡した。その技が放たれる瞬間を見たことはないが、辺り一帯の風景を入れ替えるほどの威力だと聞いている。 もし仲間を守る使命感に駆られているのなら、そんなのはお門違いだ。「湊、僕たちに遠慮することなんてないんだからな!」 雨が重い。湊にその声が届いているのかどうかは分から

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